感じやすい方におすすめの本
こんにちは。今日は本の話です。
『「普通がいい」という病』泉谷閑示(講談社現代新書)
“病”だなんてちょっとものものしいタイトルですね。精神科医の書いた本だといえば、よりものものしく感じられるかもしれませんね。(帯にも「注意:人生を変えたくない人は読まないでください」という煽り文句が)
ですが内容は、世界の詩や戯曲などを引用した、平易な文体で読みやすく書かれてあります。そして、現代日本で少数派と認識されている「生きづらさ」を持っている方なら、視点を変える助けになるのではないかと思います。少なくとも私には大きな助けとなっています。
引用したいところがたくさんあってしきれないのでおすすめとしてご紹介するのですが、悩まれているなら一度読んでほしいと強く思います。
私が考えるきっかけとなったことを列挙すると、
- 「普通」という言葉の手垢を落とすこと
- インスタントな解決には意味がない(癒しなど)
- 自他の区別
- 頭と心(身体)の違い、二元論
- 深い感情の出てくる順番と鮮度、感情のフタ
そして後半に書かれている下記の内容は、HSPや感受性の高い方にも頷けるものだと思います。
- 親子でも生まれ持ったものさしが違う
- 「敏感で太い」自分へ
- マイノリティの小径を行く
- 螺旋状の成長を目指すこと
この最後の「螺旋状の成長を目指すこと」というのが、私が挑戦していることです。
A→Bへと一方通行の成長から、一段上へあがって、Cへいく。
上から見ればAとCは同じ場所にいるように見えますが、横から見れば一段上がっているのです。
どうすればいいのか? 少し長くなりますが引用します。
たとえば「神経質だ」と言われている人が、その性質をがんばって減らそうとするけれどもうまくいかない。そもそも鈍感→繊細という一方通行ですから、逆行は出来ない。つまり、感じていることを感じないようにすることはできない。無理にやれば、離人症になってしまいます。この場合には、神経質さにどんどん磨きをかけて突き進めばよい。神経質の極みに達したとき、ポンと抜けることになる。これがC点です。この場合C点では、さまざまなことを敏感にキャッチしているけれども、それに振り回されずにどっしりとしていられる状態になり、傍から見れば実にシンプルで神経質のかけらも見えない姿になります。そこでは、相反する性質が両立するのです。
人間は、こういう風に変化・成熟していくものなのではないかと思います。
(p.180-181, 下線は引用者による)
私でいえば「HSP」という性質について、いやだいやだと逃げていた時は余計に過敏に反応していましたが、いったんその性質を「引き受ける覚悟を決めた」時から、徐々にフォーカスしなくなりつつあります。自分の中に取り込んだ感覚です。
具体的には、「神経質だな~私。でもそれでもいいや」「音を気にするな~私。でもそれでもいいや、気になるんだから」と何度も自分を許して認めていったことです。
反対意見がアタマのあちらから聞こえます。でもそれも私。「これじゃだめだって思うよね、でもだめでもいいんだ、私。そこからスタートだから。」
そうしていると余力が出てきます。そして「どれくらい気になるんだろう?どれくらい神経質なのか、自分で測ってみよう」と思える元気が内から湧いてきました。
私を私として受け止めきったら、周りのことは気にならなくなってきました。ものの見方が変わったのです。まだまだ挑戦中ですが。
ただ、自分を認める、といってもそれがただの“甘やかし”で止まってしまうのはいやだったので、そこからどうしたい?どんな風になれたら自分をいい奴やん、と思える?笑顔でいられる? といったことは意識しています。
ああだこうだと愚痴ったり文句を言うだけなら、一度覚悟を決めてやってみたらいいと思います、失敗したってスタート地点に戻るだけですから。(それでもああだこうだとできない理由を探すのなら、それはその状態を自分が望んでいるというだけのことです。)
俗に言うポジティブシンキング、というやり方ではまったく変わらなかったのですが、それは方法が違っていたのでしょう。
自分はまだ変えていける、と知った時、楽しい!生きてる!って思いました。
いまだ自分に自信なんてものはありません。でも、自信なんてなくていい、と思います。なんにもできなくても私。私は私を生きるしかないから、私を引き受けることを私が決めることなんだと思っています。
生きてるうちは生きるんだ、ファイトだ~!