弱音
甲状腺の腫瘍が見つかり、手術で右葉を切除してから2ヶ月半経った。
日に日に元気がなくなっていくことがとてもつらい。
手術後の傷の経過は良好。
手術前に聞いていた外科的な副作用として、ひきつれや嚥下の際のつっぱり感が現れたが、時間とともに穏やかになってくれたらいい。
傷口も、ゆっくりと目立たなくなってくれたらいい。
それよりも、残り半分の甲状腺ががんばってがんばって、でもがんばれなくなった。切除したことによる「甲状腺機能低下症」に陥ったことがショックだった。
入院前は、甲状腺の機能自体は問題なかった。ただ、しこりができただけ。
そして入院中は普段の生活よりよほど元気だった。
だからしこりを取って退院しても、こうして元気のままいられるんだと思っていた。
退院後すぐ、なんだか調子が悪い。
だるく、動くとすぐにしんどくなる。息切れがする。なんでだろう?
入院中も動くようにしていたし、階段での上り下りも積極的にして、体力が落ちないように心がけていたけど、やっぱり落ちるものなのかな、と思っていた。
退院してから1週間目、外来での血液検査で「甲状腺機能低下症」になっていることがわかった。TSHが基準範囲内の数値から大きく出ている。
チラーヂンSの25μg×2(調整可能なように。実質は50μg/日)を服用し始める。
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの量が足りなくなって、徐々に身体の働きが落ちていく。
甲状腺は「代謝を担う重要なホルモンを出す臓器」であり、なくなると死ぬ、と外科医に言われた。
ホルモンの量が足りないので、薬で補充する。
甲状腺ホルモンが足りない状態は「なんともいえないしんどさ」と表現されるそうだが、本当にその通りだ。
動こうとしてもすぐにガス欠になる。常にだるい。寝ていたい。
本人にしかわからない苦しさだと思うけど、身体だけでなくて、精神症状に大きく症状が出るのが私にはとてもつらい。
その2週間後の外科外来で、腫瘍の病理結果と血液検査を受ける。
腫瘍は良性だった。
手術をする前の細胞診検査では、クリニックで「不明」、外科病院では「良性」と出ていた。けれど、はっきりと結果として聞かされることがこれほど安心に感じるとは。
血液検査では機能低下の「傾向がある」までは回復した。TSHの数値は基準値ギリギリだった。
たしかにその頃にはしんどさが少しマシになっていた。移動や動くことを最小限にして、ひたすら休むようにしていたから、ということもあるかもしれない。
手術をした病院での外来はここで終了し、以後は初めに行っていたクリニックでフォローしてもらうことになる。
けれど、終了後からまたどんどん調子が悪くなっていった。
ひと月後、クリニックへ再来。先生にどうかと聞かれたが、「しんどいです」の言葉しか出てこなかった。
今回は血液検査なく数値がわからない状態だったけど、チラーヂンの量が少ないのじゃないか、という私の訴えには「うーん」と明確な返答はもらえなかった。
とりあえず、食事が取れているか、睡眠が取れているかを確認された。
食欲はなかったし、眠りも浅く眠れた感はない。食事は食べないことも増えていて、内容も極端に量が少ないか、栄養を無視したメニューが重なっていた。
体重が減っていることを指摘され、食事が取れるように漢方などの薬もありますよ、と言われたが、減ったといっても半年で3kgぐらいである。そんな急激なものじゃない。
でも、食べないと体力の回復にはつながらないことも理解したので、受診後はなるべく食事をするように心がけている。
食べたら食べたで、やっぱり身体が元気になってくることもわかる。食欲が湧くこと、おいしさを感じることがまだ少ないけど。
睡眠は、睡眠導入剤を処方してもらう。持っているだけで安心だ。
先生としては、普通の生活を送り、基盤をしっかりさせることを言っていたのだと思う。
だけど私はしんどすぎて、でもそのしんどさを縷々訴えても明確な答えを返してくれない先生に不信感を持ってしまった。
現在は、婦人科の治療も併せてしており、その影響もあって、ホットフラッシュや血圧の上昇、精神面での症状が強く出現している。
素人の私には、どっちがどっちの症状なのかわかりゃしない。
とにかく身体に振り回されている毎日。
知らないことは恐ろしい。無知は悪いことを引き寄せてしまう。
ともかく次回の甲状腺クリニックの受診では血液検査がある。TSHほか、現状態を診断してもらうこと。
そして、未来のなりたい姿について思いを話すこと。私はチラーヂンを飲まない身体になりたいが。
あとは、現状の私に合う薬を処方してもらうこと。(チラーヂンだけでなく、食欲や精神症状に効いた漢方薬があるから)
長くなったので、思ってしまった怖いことは次回に。